spriteの考察手帳

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Dr.くれはの謎

ONE PIECEで「Dの意志」というのが未回収の伏線として存在している。

Dの意志に関して分かっているものとして、恐らくDの一族に受け継がれるもの、血縁とは別に受け継がれていくもの、神の天敵として天竜人から恐れられているもの、恐らくひとつなぎの大秘宝と無関係ではない。

こんなところか。

 

① Dr.くれはの謎

この「Dの意志」という言葉が初めて作中で出たのは、ドラム島編の最期にDr.くれはから出たシーンだ。彼女が「生きていたのか、Dの意志は」と呟き、そこから現在に至るまでずーっと放置されている。

「Dの意志」というのがどんなものなのかは全く分かっていないが作中でその存在と内容を知っている人物は少ない。ロジャー、レイリー、おでんを始めとする最後の航海でラフテルに辿り着いた者達と、世界政府の上層部くらいだろう。

「Dの意志」は、空白の100年、古代兵器、ひとつなぎの大秘宝とは無関係ではなく、恐らく何らかの形で繋がっていると思われる。つまり世界政府がその全てをかけて揉み消そうとしている秘密の一つである。

 

そんな秘密を何故このおばさんは知っているのだろうか?

そもそも彼女が16巻でこの事を言わなければ我々は今だにルフィのミドルネームに意味があるとは知らないままだっただろう。

 

② 彼女はDの意志の内容を知っている

ここで問題なのは、「生きていたのか、Dの意志は」と言っている事だ。

生きていたのか」とは、死んだと思っていたものが生きていた時に言う言葉だろう。死んだものが何か分かってなければ死んだことも分からないし、生きていたとしても本物かどうか判断できない。つまり、Dr.くれはが「生きていたのか」と言った時点で彼女は「Dの意志」が何なのか知っているはずだ。知っていなければ「生きていた」の確認が取れないのだから。

 

③ Dの意志が死んだと思ったのはいつ?

恐らくロジャーが死んだ時だろう。ロジャーと面識があったかどうか作中で描写がないため分からないが、「生きていたのか」と言う言葉は、「Dの意志」が死んだと思っていなければ出てこない言葉なので彼女は死んでいたと思っていた。つまり、ルフィ達に会うまでの間に「Dの意志」が死んだと思える事件が起きたと言える。作中でそれらしいものと言えばロジャーの死刑以外思い浮かばない。

 

④ いつから知っていたのか

ロジャーと接触した描写がないので、どういう経緯で、いつ、どこで、どこまで知ったのかというのは全く分からない。先ほどのロジャー死刑によって「Dの意志」が死んだと思ったことから、くれはとロジャーは接触していた事を前提とし、更に接触した描写がないのでここからは完全に筆者の主観的憶測で話を進めていく。

2つのパターンが考えられる。

① ロジャーと会う以前から元々知っていた

② ロジャーが解散して死ぬまでの間に知った

 

まず、からだがロジャーと会う以前に「Dの意志」に辿り着くためには、3つの可能性しかない。

一つ目、世界政府上層部と深い関わりがある。

二つ目、オハラのクローバー博士と面識がある。

三つ目、世界の秘密を握る何らかの一族であり、親などから伝え聞いていた。

 

一つ目は割と可能性としてありそうなパターンである。

Dr.くれはは140歳以上生きている超人で、医療大国ドラムでも恐らく頭一つ二つ抜けてる医術を持っている。それが誰かからの一子相伝なのか独学なのかは分からないが、例えば五老星が病に倒れたところを呼ばれた時に交換条件として話を聞いた。

あるいは140歳を超えてあの元気なので、彼女そのものに秘密があるのは間違いない。であるならば、それが五老星が欲しがる何かだった場合に長寿命と引き換えに教わったなど、色々と考えられることはある。

この根拠の弱いところは、いずれのパターンも五老星から交換条件で聞き出すか、スパイの様に紛れ込んで情報を盗むしかないことだろう。

あれだけイム様に命令されて邪魔者を消してるくらいだから交換条件には出さないだろうし、スパイをするような職業でもないからこの線も薄そうだ。一応、本人の戦闘力は地味に高そうなのでスパイも出来なくはないだろうが、医者の彼女がスパイをする描写が必要であるため、一つ目のパターンは根拠が弱いと思う。

 

二つ目、オハラと関わりがあるパターンだが、オハラと接触するパターンは2つ。

一つ目は、オハラが世界政府加盟国であればレヴェリーに出席しているのでそこで接触したパターン。

二つ目は、昔女海賊、または海賊船か商船の船医としてオハラに滞在したことがある。

いずれも五老星の時と同じくオハラの人々は何故教えたの?と言う疑問が解決できないため根拠が弱い。

しかし、海や海賊旗、明らかにドラム島には存在しない病気の血清などを持っていたことから、恐らく海外に出ていた事は間違いないと思う。その時にオハラとは限らず何らかの形で「Dの意志」を知った可能性はある。

 

三つ目、元々世界の秘密を知る一族か何かであり、親などから聞いていたパターン。

これならば五老星やオハラと接触した後、聞き出す必要もないので現状1番可能性が高いかなと思う。

光月家やネプチューン家のように相伝で何かを伝える一族は作中で出ているのでなくは無い。しかし、光月家やネプチューン家でもポーグリフの細かい内容や空白の100年の事を知らされてないのに、くれはの一族にそれが伝わっている?これも考えにくい。

 

②の解散して死ぬまでの間にロジャーに会った

この可能性は低いと思う。

何故ならエースの母であるルージュの存在があるのでその間に会うことは恐らくないだろう。病を患っていたが、1年分の薬はクロッカスから貰っていたので、くれはに会う必要もない。そのため、この②の可能性は限りなく低いと思う。

 

物語の時系列を見るにロジャーがラフテルに行く前から船医としてクロッカスが乗っているので、くれはがロジャーと接触していたとしたら少なくともロジャー海賊団が世界の秘密を知る前ということになる。世界の秘密を知った後に海賊団は解散し、ロジャーはルージュと共に過ごした事から解散後にロジャーと会った可能性も低い。

上記のことから、くれはがロジャーと会っているとしたらクロッカスが船医になる前ということになる。これは当然世界の秘密を知る前の事だ。つまり、くれはは、ロジャーと共に世界の秘密を知ったわけではないし、世界の秘密を知った後に出会った可能性も低いという事だ。

 

まとめると、くれはが「Dの意志」を知るためには、一族が秘密を知っていて伝え聞いたパターンか、何らかの事情で海に出ていた時に知ったパターンのいずれかが考えられる。どのパターンもロジャー経由だと説明がつかないので、ロジャーからではなく、別の筋から内容を知ったのだろう。

 

⑤ 「生きていたのか、Dの意志は」2回目説

上記の事からロジャーと会う以前に「Dの意志」について知っていた可能性が考えられる。ということは、もしロジャーに会っていたとしたらロジャーに対しても「生きていたのか、Dの意志は」と発言していた可能性も考えられる。

とは言ったものの、流石に同じ言葉ではないと思うが、とにかくロジャーを見て「Dの意志」が生きていると思ったりしたのではないだろうか。

 

⑥ 大変なやつについていっちまった

Dr.くれはが最初に海賊王の本当の名前を教えてくれた。この時に我々はルフィと同じミドルネーム、さらに「Dの意志」という言葉から何らかの意味があるミドルネームということを知った。

海賊王と同じミドルネームという共通点と読者視点で物語を見ているから、ついルフィの海賊王という野望をDr.くれはも知っている気になって読んでしまいがちだが、ルフィから事細かに野望の事を聞いてないので、Dr.くれはの「ウチのトナカイは大変なヤツについていっちまったみたいだね」という発言を、何の違和感もなく読んでしまっている。しかし、ここも今振り返るとかなり意味深である。

単に読者視点によるこれまでの物語とルフィの野望、そして海賊王との共通点から「大変なやつについていっちまった」を、「ルフィについていくのは大変やろw」くらいにしか思わなかったが、これは「Dの意志」がやがて世界を巻き込むほどの巨大な戦いになる事を知っていたからこう言ったのではないか?と読み取ることもできる。

 

⑦ まとめ

何らかの形でDr.くれはが「Dの意志」を知っており、ロジャーを見て「Dの意志」が受け継がれていると思っていた。しかし処刑されてしまい「Dの意志」は途切れたと確信した。その後にルフィを見て「Dの意志」が生きていたと思った。

 

この事から「Dの意志」とは人柄や思想に起因するものと考えられる。Dの一族という事も関係あるだろうが、同じDの一族でも黒ひげは受け継いでいないようだし、ルフィやロジャーのような人柄の者が「Dの意志」と結び付けられるのだろう。

 

そして、Dについて行くのは大変だと知っている事から、今後起こる世界を巻き込むほどの戦いの事まで分かっているのではないだろうか。世界を巻き込む戦いが起こる事が分かっている、これはつまり原因が分かっているということである。ここまで分かっているならもはやONE PIECEのことまで知っているのではないだろうか。そうでなければここまでの疑問が払拭できない。

正直深堀りしなくても物語は進められるし、完結できると思うが、深掘りしなければこの謎が残るので今後にDr.くれはの過去を描く展開があれば嬉しい。